DORADO サイクロンドライブ (ウォータージェット艇) 500 class
サイクロン・ドライブはMamosunが1983年に考案したウォーター・ジェット推進システムです。 それまでのウォーター・ジェットは船体内部にスクリューを内蔵し、その推進力で前進するタイプでした。 このためジェット・ボートとは言ってもスクリュー艇よりもスピードが低めの物も結構ありました。 これに対しこのシステムは船体内部に高圧ポンプを設置し、船底から吸上げた水に遠心力で圧力を掛け、船尾ノズルから一気に噴射して、その反動で前進をする構造です。 1号艇は「モデルジャーナル」誌のプラモデルのラジコナイズのコーナー用に、タミヤの魚雷艇プラモをベースに改造したので、お世辞にも高速艇ではありませんでした。
1990年になり本格的に高速タイプのジェット・ボートに挑戦したのが2号艇で、当時「ラジコン技術」誌等にも取上げて頂きましたが、速度は向上したものの、コントロール性が非常に敏感で決して満足できる性能ではありませんでした。 その後2000年になり2号艇を大幅に改修して機能、性能共に満足できるレベルにアップした3号艇が「DORADO」です。
サイクロン・ドライブの最大の特長は、上の左写真のように何といってもその凄まじいウォーター・ジェット噴射力で、噴射水流はなんと5m以上も飛びます!(7.2V仕様の全力噴射状態) この噴射のコントロールは船底の吸水口とのバランスも関係し、非常に難しく通常の舵や舵取りノズルではとても制御できず、独自の構造を採用しています。このため普通のラジコンボートの操縦よりも少々シビアですが、その代わり通常のボートでは絶対に真似のできないスピンターンをすることができます。
キャビン・ハッチを外すと内部のメンテナンスができます。 ハッチと船体はウレタンシールド材で防水してあります。
キャビン・ハッチの先端は船首側に差込み、その後船尾の上部を防水ボルト1本で締付けて取付けます。
バッテリーはNi-MHのサブC 7本パックを、バランスを取るため船体前方にマジック・テープで取付けます。
モーターとアンプは水冷式で、冷却水はポンプ本体に付けたニップルから取入れ、冷却後は船尾から排水します。
ポンプ本体からモーターを外した状態。 ポンプは全体が数字の9に見えるため9字状パーツとも呼びます。
ポンプ本体はナット1個で固定しており、船体から外すと、吸水口と噴射口のジョイント口が見えます。
船体後部は逆テーパー形状で、船底のガルウィング安定板や、ジェット噴射口とラダーブレードがあります。
ヒートシンクに水冷用アダプターを取付けた、モーターコントロール・アンプと電源スイッチです。
船尾からの浸水を防ぐため、ラダーサーボロッドに蛇腹ゴムブーツを装着した、ラダーサーボと受信機。
噴射口側から見ると、ポンプ本体上部のモーターマウント手前には、冷却水取水用のニップルがあります。
ポンプ本体下側の吸水口には、走行時のゴミ等を吸込まないように、10号のテグスを3本張ってあります。
側面から見たポンプ本体は意外にスリムですが、凄まじい噴射時の圧力に耐えるよう、かなり頑丈な構造です。
形状や角度の効率を突き詰めた、2枚のブレードを取付けた、圧縮ローターフィンはサイクロンドライブの要です。
圧縮ローターフィンは防水用のシリコンOリングとテフロンワッシャを挟んでから、シリコングリス多めに塗ります。
モーター先端のポンプ取付け用キャップを取付け後に、圧縮ローターフィンをモーターシャフトに取付けます。
モーターの水冷エンドベルは、昔京商から出ていた550水冷モーターのエンドベルを流用しています。
モーターセットは一般的なモーターボートと違い、ポンプに対し直角に取付け、2本の防水ビスで固定します。
モーターを取付ければ、強力なウォーターポンプになります。 噴射ノズル付根の四角の板は防水プレートです。
「DORADO」を俯瞰から見ると、独特の船体後部デザインが分かります。
船底は完全にフラットなため、水深5aでも充分に走航が可能です。
船底後部にはスピン防止用のガルウィング安定板と吸水口があります。
「DORADO」は本来シイラの別名ですが、シイラの英名(Dolphin)をもじり、「イルカの様な艇」を意味しています。
5枚の走航写真は完成後に女神湖で、7.2Vバッテリー仕様でテスト走航した時の物です。 ウォータージェットの噴射量が多いため、航跡は結構大きめです。 また船底がフラットなため湖畔の浅瀬でも、水面下を気にせず自由自在に走航できます。
右下の写真は意図的にスピンターンをさせた瞬間です。
「モデルジャーナル誌」のプラモデルをラジコナイズするコーナーで、タミヤ製の魚雷艇プラモデル「ボスパー」に、サイクロン・ドライブを組込んだ「ジェット・ボート1号艇」です。 1号艇は380モータークラスで割りと省エネタイプでした。
地球堂製「ウェイブ・ライナー」に540クラスモーター仕様のサイクロン・ドライブを搭載した2号艇が「ラジコン技術誌」(電波実験社)に掲載されましたが、初期の2号艇はスピンが強く高速時のコントロールが不安定でした。
サイクロン・ドライブ搭載の「ウェイブ・ライナー」改良型が、「ラジコン技術誌別冊」の「ラジコンボート・作り方と楽しみ方」に掲載されました。 改良型はスピンを抑えるため、パワーとスピードが犠牲になってしまいました。
「DORADO」のサイクロン・ドライブは、強烈なウォーター・ジェット噴射の反動力によって前進するため、船底からの吸水力も非常に強力です。 このためポンプ内部は非常に高圧のため、ポンプ本体の強度を高めることはもちろん、各部の防水処理にも非常に神経を使います。(防水しないと何とモーターシャフトの軸受けの隙間から水が噴射します) 吸水力はほとんど掃除機レベルですので、走航中はスクリュー式モーターボートのようにバウンドせず、水面に張り付いた様に滑走していきます。 またスクリュー式のジェットボートは吸水口が船尾にありますが、「DORADO」の吸水口は船尾から10cmほど内側にあります。 
◎ 「DORADO サイクロンドライブ艇 500 class」 諸元
   :全長 560mm
   :全幅 175mm
   :全高:112mm
   :モーター 540クラス 23ターン(改良水冷仕様)
   :バッテリー Ni-MH 7.2V または 8.4V
            (3000mAh以上)
   :ラジコン装置 2ch
           1サーボ  1アンプ(改良水冷仕様)
船体内側に吸水口があるので、これを中心にスピンしやすい構造のため、船体後部は独特のデザインを採用しています。 船底後部にはガルウィング型のスピン防止水流安定板を設置し、さらに船体後部もスピンを抑えるため逆テーパー形胴体を採用しました。 ジェット噴射口の後部にある舵も独特の構造で、噴射水流を左右半分だけ制御して直進性を保ったままターンをします。 この構造を理解して操縦に慣れてくると自在にコントロールが可能となり、故意にスピンもできるようになります。 サイクロン・ドライブは構造的に後進はできませんが、狭い場所でもスピンターンで脱出することも可能です。
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